個人向けiPS細胞バンキング企業アイ・ピースのiPS細胞を用い Heartseedが高純度心筋の安定した分化に成功
個人向けiPS細胞心筋再生医療推進への新たな一歩

個人向けiPS細胞バンキング企業アイ・ピース(I Peace)株式会社とHeartseed株式会社は共同で、アイ・ピース社で作製された複数のドナー由来のGMPグレードiPS細胞株から、Heartseed社の心筋分化誘導技術をを用いて分化誘導し、今回分化誘導をおこなったすべての人から、どのiPS細胞からも高純度の心筋細胞をこれまでになく安定して作成することに成功しました。アイ・ピースの高品質GMP iPS細胞作製技術と、Heartseed社の高い分化誘導技術を組み合わせ、様々なドナーからの多種多様なGMP iPS細胞から安定的に心筋細胞を作製できる方法を確立したことによるものです。アイ・ピースの個人向けiPS細胞バンキングサービス (マイピース)によりiPS細胞を製造・保管し、心筋細胞に誘導しておこなう自家iPS細胞医療の実現に向けてさらに一歩近づきました。

iPS細胞由来の高純度心筋を安定して作成することの意義について
個人向けiPS細胞を活用した医療の大きな特徴は、どのような種類の体細胞も作ることができる可能性と、細胞移植を行った際に免疫反応が起こらず免疫抑制剤が不要である、という点にあります。
これまでiPS細胞には心臓の細胞になりやすいiPS細胞となりにくいiPS細胞があり分化指向性があることがわかっています。このiPS細胞の特定の細胞への分化しやすさのバラツキはiPS細胞を用いた医療の実現のハードルになっていました。なぜならば、どのiPS細胞が心臓細胞になりやすいか予想することは難しく、多くのiPS細胞株を保管する必要があったからです。これは個人用iPS細胞を保管して、個人用iPS細胞を用いた医療を行う上で、大きなハードルになっていました。今回の成功は、iPS細胞から心臓のみならず様々な体細胞を作成し移植をおこなう、という次世代再生医療の実現に向けて大きな期待を抱かせるものです。


アイ・ピースは複数のドナー由来のiPS細胞を同時並行で作成する技術を確立し、多数の医療用グレードiPS細胞を安価かつ安定的に製造しています。その高度かつ安定した品質が今回のHeartseedによる高純度心筋の分化の成功に寄与したものと考えられます。


このたびの成果において、Heartseedが確立した心筋細胞の分化誘導方法が画期的な役割を果たしました。iPS細胞の性質は、どのドナーの細胞から作製されたかによって大きく影響を受けます。そのため、各ドナー由来のiPS細胞から心筋細胞を効率よく作製するために、通常は心筋作製方法をiPS細胞ごとに最適化する必要があります。実際に、通常の心筋分化方法を用いて心筋細胞への分化誘導した場合、誘導効率が低いiPS細胞のラインが多く存在しました(図1)。一方で、Heartseed独自の心筋分化方法を適用することで、4人の異なるドナーを含む8つのiPS細胞ラインの全てにおいて、高い分化効率で心筋細胞の作製に成功しました(図2)。さらに得られた心筋細胞を、Heartseed独自の純化方法である「メタボリックセレクション」によって、医療応用に適した99%近い純度にまで高めることに成功しました。

図1は通常の分化方法では分化効率が低いことを示している。図2はHeartseed独自の分化方法では分化効率が高いことを示している

アイ・ピースはHeartseedとの協力をさらに推し進め、iPS細胞を活用した再生医療による心臓病治療の一日も早い実現を図るとともに、心臓以外の疾病についてもその治療法確立に向けて様々な機関と協働してまいります。

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