細胞製造拠点(Peace Engine-Kyoto)、米国第三者機関よりFDA基準cGMP認証取得日米両国の基準に対応

アイ・ピース株式会社(京都市)の細胞製造拠点(Peace Engine-Kyoto:京都市西京区)は、このほど米国第三者機関よりFDA基準に準拠したcGMP製造施設としての認証を得ました。同社はI Peace, Inc(アイ・ピース、本社:米国カリフォルニア州パロアルト、CEO:田邊剛士)の日本子会社で、京都市西京区にある細胞製造拠点(Peace Engine-Kyoto)は、既に特定細胞加工物製造許可を厚生労働省(近畿厚生局)より得ています。

今回の第三者機関による認証は、医薬品の製造管理および品質管理に関するグローバルな基準であるICH-Q7ならびに米国食品衛生局の製造プロセスに関する規制である21CFR210/211に準拠、そしてiPS細胞のもととなる血液ドナーのスクリーニングは米国食品衛生局のヒト細胞・組織およびそれらに由来する製品に関する基準21 CFR1271に準拠していることについてのものです。また、インフォームドコンセントを含む一連のプロセスは米国独立IRB(倫理審査委員会)の承認を得ています。加えて、ドナーのプライバシー保護の観点からプライバシーマークも取得しています。

このように厳格な基準に準拠して製造管理ならびに品質管理が行われていますので、弊社の提供するiPS細胞はGMPグレードのトレーサビリティを担保し、日米のみならず世界の様々な地域で研究臨床の如何に関わらず高いレベルの様々なご要望に迅速に対応することが可能です。

これまでも研究用グレードiPS細胞の提供やカスタム製造による臨床用グレードiPS細胞の提供を行ってきましたが、このたび日米の規制に対応した臨床用グレードiPS細胞を揃え、幅広い企業・研究機関のご要望に応えることができる体制が整いました。臨床用研究用の如何に関わらず、様々なご要望に迅速に対応し、再生医療や創薬のさらなる発展に貢献していきたいと考えております。

ポイント

  • 当社製造施設および当該施設における品質管理はICH-Q7、21CFR210/211、21CFR1271、に準拠し基準に適合している旨、米国第三者機関より認証を得た。
  • 日米対応の臨床用グレードiPS細胞株の提供を実施。
  • 日米対応の臨床用グレードiPS細胞株の受託製造を実施。
  • 当社製造施設は
    • 『再生医療等の安全性の確保等に関する法律』に定められた基準に適合し、特定細胞加工物製造許可(厚生労働省)を取得
    • 医薬品規制調和国際会議の定めるグローバルガイドラインICH-Q7に準拠
    • 米国食品衛生局基準21 CFR210/211とPart 11に準拠
  • 当社製造施設における品質管理は
    • 厳格なバッチレコードを作成・管理
    • 試薬や資材などのトレーサビリティを担保
    • 米国食品衛生管理局基準21CFR1271に準拠
  • インフォームドコンセントを含むドナーへの対応などの一連のプロセスに関し米国独立IRB(倫理審査委員会)により承認
  • 用途ごとに必要とされる様々な試験・検査にもインハウスで迅速に対応

FDA基準準拠認証取得の意義
iPS細胞そのものは医薬品ではなく、再生医療においてもそのまま移植するものではありません。したがってiPS細胞製造施設やその工程・品質管理そのものはFDAによる審査の対象ではありません。しかしながら、当該iPS細胞を原料とする分化細胞を用いて再生医療や細胞医薬品投与を行おうとした場合、原料としてのiPS細胞の製造工程はFDAの審査対象となります。したがって、iPS細胞を再生医療や細胞医薬品の原料として用いる場合、製品としてのiPS細胞の良し悪しだけでなく、その製造工程や品質管理が規制に準拠しているかどうかが臨床適用や細胞医薬品の承認の可否をも左右することになります。

この度のFDA基準cGMP認証取得により、再生医療の臨床応用や創薬の日米両国における承認を念頭に、アイ・ピースの細胞製造拠点(Peace Engine Kyoto)にて製造されたiPS細胞を安心してお使いいただくことが可能となりました。これはまた、再生医療の臨床応用や創薬に関し日米両国での承認申請を行う場合、どちらも同じiPS細胞株を用いることが可能となったことを意味し、申請に向けたプロセスの時間とコストの大きな削減につながるものです。

臨床用グレードiPS細胞多種ライン常備提供開始の背景
現在、国内外で再生医療の実用化に向けてiPS細胞由来の細胞を用いた様々な臨床研究が行われている一方で、実際の細胞移植医療の原材料となる臨床用のiPS細胞の作製が可能な拠点は世界的にも非常に限られています。さらに、iPS細胞株の分化指向性注は、臨床研究を進める上で課題の一つでした。当社は臨床用のiPS細胞株の選択肢を増やすことで、研究機関等が自身の行う臨床研究に最適なiPS細胞株を選ぶことを可能とし、臨床研究を促進します。

I Peace(アイ・ピース)の強みは、ファナック株式会社と共同開発した独自の完全閉鎖系自動iPS細胞作製技術により多種のiPS細胞株を同時に平行して大量に作製、提供できることにあります。自家移植を実現するためには多種の臨床用iPS細胞株を同時並行で量産出来るシステムが必要不可欠です。当社の施設はiPS細胞を用いた自家移植再生医療の実現に大きく貢献するものです。I Peace, Inc.(アイ・ピース株式会社)は、ファナック株式会社と共同開発した自動量産技術を用いて、年間数千株の臨床用iPS細胞の多種同時量産体制を目指し今後さらに設備増強していきます。

注:分化指向性
ES/iPS細胞は特定の細胞への分化しやすさ(分化指向性)が細胞株ごとに異なる。例えばiPS細胞由来の心筋細胞を用いた臨床研究を行う場合、複数のES/iPS細胞があれば心筋細胞に分化しやすい株を選択することにより、研究効率を向上させることができる。

I Peace, Inc. について
I Peace, Inc.は、京都大学山中伸弥教授の研究室出身である CEO田邊剛士 によって立ち上げられた会社です。iPS細胞を全ての人々の手に届くものとすることを目指し、日々革新的な技術開発に取り組んでいます。CEO田邊はiPS細胞の開発当初から研究に従事し、世界で初めてヒトiPS細胞の樹立成功を報告した論文の第二著者。山中伸弥研究室にて7年間リプログラミングのメカニズムについて研究を行い、同研究室で医科学博士号取得後に渡米。世界で初めて皮膚から神経へのダイレクトリプログラミングに成功したスタンフォード大学のMarius Wering博士の研究室にて博士研究員として血液から神経へのダイレクトリプログラミング及びiPS細胞のリプログラミングのメカニズムについて研究を行いました。その後全ての人が当然のように自分のiPS細胞を持つことができる未来を一日も早く実現するために起業しました。日米の両拠点においてiPS細胞研究に開発当初から⾧年携わってきた日米の開発担当者を中心に、臨床培養士、バイオメディカル設備設計施工技術者、ロボティックス技術者、弁理士、投資銀行家など日米の多彩な人材が集結、ビジョンの一日も早い実現に向け日々研鑽を重ね研究・開発に従事しています。

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